プロフィール
2002年8月13日生まれ。栃木県宇都宮市出身。2012年「全国小学校ゴルフ選手権 横尾要カップ」(3・4年女子の部)で優勝。2015年 関東中学校ゴルフ選手権夏季大会2位。2016年「関東中学校ゴルフ選手権春季大会」で5位。ドライバー飛距離230ヤード。1m55cm。2019年現在、闘志国際高校ゴルフ部所属。
名前の由来はアニカ・ソレンスタムから。「私はまだアニカさんに会ったことないんです。いつかは会いたいと思っています」(本人談)
2019年6月14日、新潟サンライズゴルフコースにて行われた「第22回新潟県アマチュアゴルフ選手権」において、開志国際高等学校(新潟県)2年の佐藤有仁加(以下・アニカ)さんが見事、プレイオフを制し優勝。2020年、オリンピック直前に行われるヨネックスレディスへの出場権も手に入れた。
アニカさん「プレイオフは6回位経験しているのであまり緊張しませんでした。高校のゴルフ部の仲間達も応援してくれてたし、非常にプレイしやすかったです。162ヤードのパー3を4番UTで軽めに打って、50cm位につけて、バーディーを取れた時はヨシッ!って。嬉しかったですけど、泣いたりはしませんでした(笑)」
普段は高校の寮で生活をしているアニカさん。ゴルフ部に所属し、練習の日々を送っている。
アニカさん「スイングの練習はもちろんしますが、私は結構、トレーニングを大切にしています。動ける身体でないと、自分の思ったスイングができないのは分かっているので。腹筋やダンベルのバーを持ってスクワット、飛距離アップのために瞬発力を鍛えるトレーニングなどいろいろやっています。私、中学の時には結構、ケガで悩まされました。手首も痛めたし、足首の靭帯を2/3に切ったこともあり、トレーニングの重要性は身に染みて分かっています。やっぱりケガが多いとプレイにも影響がでますから。ゴルフ部でここまでトレーニングしている人は、少ないかも」
夏の長期休暇や冬の間(新潟は雪でゴルフ場がクローズする)、しばしば地 元・栃木県宇都宮に戻り、ゴルフコンディショニングスタジオThe蔵ssicの坂井昭彦代表のもとを訪れる。スイングデータを取るためだ。The蔵ssicには日本ではまだ導入している所がほとんどないテクノロジートレーニング機器「K-VEST」(運動科学からスイングを3Dアニメーションで分析)などを導入している。
アニカさん「一時、いろんな人のアドバイスを聞き過ぎてしまって、もう何がなんだか分からなくなってしまったんです。スイングデータは客観的にスイング状態を知ることができる所がいいですね。ここで課題を見つけ、日々、そこを改善するような練習を行っています」
「アニカは自分が納得いくまで止めないなんです。根性ゴルファーですよ(笑)」と坂井氏。
この日、下半身よりも腕が若干早く動くことがデータから判明。その動きを直すため試行錯誤を繰り返す。「これが、最後!」を5回以上も行っていました。
今や一般ゴルファーでもスイング解析の経験をした方は多いはず。しかしアニカさんの驚かされることは、その解析結果を持ち帰り、理解を深めるためにパワーポイントに自分なりにまとめる作業を行っている。しかも英語で!
アニカさん「こうやってまとめると自分の頭の中で整理ができるんです。それと英語が好きなんですよ。そう言えば、この間、英検2級受かりました!」
文武両道。アニカさんはアスリートコースで入学したにも関わらず、日本人がほとんどいない海外留学生が受ける英語の授業を受講している。外国人の先生の英語での授業、英語でのレポート提出。ゴルフだけでなく、勉強も決して手を抜くことをしない。そんなアニカさんの癒しの瞬間は、学校の練習場から見る夕焼け。
アニカさん「新潟の空はすごく綺麗なんです。(夕焼け写真を見せてくれる)。ね? すごく空が高くて綺麗なんです。それと、寮は2人部屋なんですが、2段ベッドの下を使っているんですが、ベッドの壁に友達との写真も貼ってます(笑)」
そんなアニカさんに得意なクラブを聞くと、即答で
アニカさん「パターです! パターって体格とか年齢とか関係ないじゃないですか。私、パターがあまりにも好き過ぎて、6時間ぶっ通しで練習したこともあります。私は元々、飛距離が出る方じゃなかったので、パターで何とかするしかなかったんです」
「恥ずかしながら、パターが全然入らないんです」とアニカさんに相談すると…。
アニカさん「とにかくパターは自信があれば入ります。自信がつくまで練習することが大事だと思います。「入らないなー」と思うと、ちょっとした心のゆるみが出てパターって入らない。迷わず、入ると思って打てば入ると思いますよ。パターって本当に大事で、入らなくなるとプレイのリズムも悪くなってきますから」
小さな頃からゴルフに触れていたアニカさんが、ゴルフを習い始めたのは小学校4年生の夏。2012年「全国小学校ゴルフ選手権 横尾要カップ」(3・4年女子の部)優勝をきっかけに真剣にゴルフに取り組むようになったとか。そして小学校6年生の時にTHE蔵ssicの坂井代表の元を訪れるようになった。
アニカさん「THE蔵ssicには、中学生の時は毎日のように来ていました。土曜日は、自転車に乗ってゴルフバック担いで、朝9時に来て、練習して、ご飯ご馳走になって、昼寝して、勉強して。結局、夜9時頃までいたりして(笑)。眠い時は、トレーニングルームの床で寝てましたし(笑)。ここで身体の重要性はもちろんですが、いろんな職種の人が訪れて、いろんな話を聞けたので、視野が広がったこともよかったです」
好きな選手は河本結選手。「大学に進学しながらもレギュラーツアーで活躍している所がすごいから」と語るアニカさん。PGAの試合もよく観戦しているようで、ジョーダン・スピース、タイガー・ウッズ、ジャスティン・ローズのファン。特にジャスティン・ローズのギャラリーを味方にして自分のプレイを盛り上がる様子にはかっこよさを感じるとか。
最後にどんなゴルファーになりたいか尋ねると
アニカさん「新潟はもちろんですが、地元・宇都宮の人達には子供の頃から大変お世話になっています。“宇都宮から世界に羽ばたくゴルファーになります!” 皆さん、応援よろしくお願いします!」
2019年7月に行われたボクシング・ミドル級タイトルマッチで、見事ベルト奪還を果たした村田諒太選手が仲間内だけの打ち上げでこんなスピーチをした。「ここにいる皆さんが僕に“居場所”を与えてくれた。この居場所がなかったら僕はどうなっていたか分からなかった」
アニカさんにとっての居場所はまさに地元“宇都宮”。帰れる場所があるからこそ頑張れる。
どんなに有名になろうとも地元への感謝を忘れない選手であってほしい。
今後の活躍から目が離せない。
文・写真/浦沢修
【佐藤有仁加さんスイング解析&レッスン風景】