【ゴルフコース学Vol.2】コース設計者の気持ちから読み取るコース戦略

コース設計者の気持ちから読み取るコース戦略

コース設計者の気持ちから読み取るコース戦略

コース設計者の気持ちから読み取るコース戦略

コース設計者の気持ちから読み取るコース戦略

「まるでスコットランドのゴルフリンクスにいるようだ」。そんな言葉が思わずこぼれるゴルフコース、「夏泊ゴルフリンクス」。海沿いに面したコースで、大きな木はなく、強い風と仲良く周ることがスコアアップの秘訣だ。コースに立っただけでその自然の美しさにただただ感動する。今回、この夏泊ゴルフリンクスを設計した海老原氏にコース設計について語ってもらいました。設計者の気持ち知ることで、新たな視点が生まれ、スコアアップのきっかけになるはずです。
夏泊ゴルフリンクス公式HP http://www.natsudomari-gl.co.jp


海老原「夏泊ゴルフリンクスは、自分がプレーして大好きなゴルフ場“サイプレス・ポイント・クラブ(アメリカ)”を目標にして、1989年にイギリスで出会ったグレーンイーグルス系のゴルフ場、この2つのイメージを持って設計を始めました。元々、夏泊はリンクスではなかったんですよ。旧太平洋青森クラブの跡地で、たまたま木がなかったし、リンクスにできる要素があったのでリンクスとして設計をしました。1995年には日本プロゴルフも行いまして、プロ協会の方も大変喜んでくれました。実はトーナメントを行うことは最初から意識して設計はしていたんです。3番や12番が終わったらクラブハウスの近くに戻ってくるレイアウトにして、観る方が楽になるように考えました。
設計で一番大切なのはレイアウトなんですね。どういう流れでコースを作るかということ。私の場合、設計する時にコースルーティーンを重要に考えます。夏泊の場合はクラブハウスをあえて海沿いではなく、内陸にしました。やはりお客様には海沿いのコースを周ってほしかった。クラブハウスが一番ではなく、コースが一番なんだという意識もさせたかったんです。先ほど話した、「サイプレス・ポイント・クラブ」もまさにコースが海沿いで、クラブハウスは内陸なんです。私は、そういうコースの流れで設計の7割、8割は決まると思っています。だから様々なゴルフ場のパンフレットでコースレイアウトを見させてもらうだけで、コースの良しあしは分かりますよ。
設計するにあたって、お客さんには、景色を楽しんでもらおうと、設計図を何枚も破いて、考えました。16番の打ち下ろしのロングホールは607ヤードあるんです。ここは2つに切って、ショートホールにすることもできたんですが、一番いい景色が見えるのであえてロングホールにしました。

コース設計の際、定番があるんですけど、夏泊の場合、あまり型にはまらない、少し遊び心を取り入れながら設計をしました。もちろん核になる所も作ってのことですが。「リンクスだし、いいんじゃない」って感じで(笑)。とは言っても設計時に意地悪をしようと思ったらいくらでもできちゃうんです。意地悪な物は後でも作れますから(笑)。そう言えば、1995年の日本プロゴルフを行った時にグリーンのアンジュレーションを作り過ぎて、専任競技委員の人にピンが切れないって言われて、4、5ホール改造をお願いされたこともありましたね。
私はこう思うんです。ゴルフコースは、設計者の力だけでは、いいコースは作れないって。グリーンとかバンカーを作る人の出来によって、実際の作品が変わってくるんですよ。私が入っている我孫子ゴルフ倶楽部でもコース内を改造する時もアメリカ人がきて、もちろん図面は作ってるんですよ、土をばーっと持ってきて、ざっと作って、そこからやり直すんです。実は私も設計だけでなく、造成もできるのでそういうやり方をやっていて。なんだ、私と同じやり方じゃないかと、それでいいんだと納得しました。図面通りに作るとどうしても想像を超えたものができなんですよ。
実は設計者って、お客さんの声とかプロの人の意見とかいろいろ聞きたいんです。でも皆さん、中々、言ってくれませんから。昔の設計者もいろんな人からアドバイスを求めています。ぜひ読者の皆さんにも夏泊を体験して頂き、様々なご意見を聞かせてください。まだまだ、夏泊は完成していないんです。その時代、時代に合わせて常に進化させているんです。それがゴルフ場を設計する醍醐味でもあるんですよ」

プロフィール

海老原寿人 1957年、静岡県御殿場市生まれ。ゴルフコース設計者、エビハラスポーツマン(株)代表取締役社長。夏泊ゴルフリンクス、水戸グリーンカントリークラブ他数々のゴルフ場を運営。立教大学体育会ゴルフ部では好成績を残す。1981年、San Diego Golf Academy入学。1983年コース設計の老舗、安達建設入社。ゴルフ設計者・鈴木正一元で修業を。1987年、水戸グリーンカントリークラブで初のゴルフ場設計を。その後、1987年、1988年と海外の名門コースを体験。その際、世界的に有名なゴルフ設計者のトム・ファジオに夏泊ゴルフリンクスの設計依頼に行くが断られるという逸話も。世界のゴルフコースに触発され、34歳の時に夏泊ゴルフリンクスを設計する。設計時のモットーは「ふんいきのあるコース」にすることを心掛けている。

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