【ゴルフコース学】夏泊ゴルフリンクスで「風のゴルフ」を学ぶ!

青森県にスコットランドのリンクスを彷彿とさせるゴルフコースがあるのをごご存知だろうか。「夏泊ゴルフリンクス」。陸奥湾に張り出した夏泊半島の突端、3方が海に囲まれた絶景の場所にある秘宝といってもよいゴルフ場である。リンクス特有の強い風が吹き、非常に戦略的なレイアウトでもあることから、攻略するのがとても至難でもある。この本格的リンクスを攻略できれば、あなたのゴルフもかなりのレベルアップが果たせるというわけで、この夏泊ゴルフリンクスと深い関わりのある3人の男たちに、このコースの素晴らしさと攻略法について語り合ってもらった。公式HPはこちら http://www.natsudomari-gl.co.jp

海老原寿人

1957年9月5日生まれ。エビハラスポーツマン株式会社代表取締役社長。ゴルフコース設計者。立教大学でゴルフ部に所属し、米国サンディエゴのゴルフアカデミーで学んだ後、コース設計の老舗、安達建設で鈴木正一の下で設計・建設を学び、再度米国で修業を重ねる。英国で多くのリンクスを訪ねて見聞を広め、34歳のときに夏泊ゴルフリンクスを設計する。

外崎玄

1951年12月10日生まれ。東北補聴器株式会社代表取締役など多くの会社の社長を務める。東北学院大時代は少林寺拳法部に所属。卒業後、東北補聴器'86年に青年会議所に入会、国内外で活躍、'91年に研修室長となる。その後、40歳を過ぎてからゴルフに熱中し、45歳に夏泊ゴルフリンクスの会員に。現在HC8。

鏑木(かぶらぎ)義成

1936年6月1日生まれ。1961年ゴルフダイジェスト社創業に参画。同社副社長となり、'03年退職。'04夏泊ゴルフリンクス、びわの平ゴルフ倶楽部、津軽高原ゴルフ場など6コースを所有するエビハラスポーツマングループの顧問就任、'06年夏泊ゴルフリンクスの理事長、'09年青森県ゴルフ連盟理事就任。


鏑木(かぶらぎ)●本日は私が愛している夏泊ゴルフリンクスを『書斎のゴルフ』の読者の方々に知っていただきたいと、このコースの社長であり、設計もされた海老原さんと、このコースのシングルプレーヤーで伊達男の外崎さんにお集まりいただきました。

海老原●鏑木さんは元ゴルフダイジェストの副社長で、ローラ・ボーのカレンダーを大ヒットさせ、さらにゴルフツアーの事業も大成功させた立役者。この夏泊の社長であった亡き父の友人であり、今は夏泊の理事長をしていただいています。私の大好きな『書斎のゴルフ』に夏泊が掲載されることになったと聞き、喜び勇んでやってきました。

鏑木●『書斎のゴルフ』はゴルフにこだわりがあり、深い愛情を持つ人たちがお読みになっているゴルフ雑誌です。夏泊のよさをきっと理解してもらえると編集長にお会いしました。そうしたところ、単にコースの紹介に終わらず、スコットランドのリンクスを彷彿させる日本では希有な夏泊のコース攻略法をお2人に話し合ってもらうことで、読者の方々にぜひともラウンドしてみたいと思ってくれる内容にして欲しいと依頼されました。もちろん、望むところであり、お2人にお願いしたわけです。

海老原●この夏泊ゴルフリンクスは元々別のゴルフ場があったところで、それを20年ほど前に父が買い取って改造することになったわけです。設計を任された私が見に行くと、コースは陸奥湾に張り出した夏泊半島の突端にあり、3方が海に囲まれた絶景の場所にあります。とはいえ、元のゴルフ場はその素晴らしい立地条件を生かすことの何の変哲もないものでした。そこで、この海沿いの立地を生かしたリンクスにすれば日本には珍しい個性的なゴルフコースになると思ったわけです。

外崎●本当に美しいコースに豹変して、私も一変に好きになってメンバーになったわけです。しかもアメリカのリゾートのようなスポーティでカジュアルな雰囲気があって、それも私の好みでした。

海老原●まったく外崎さんの言う通りで、今でこそ「スコットランドのリンクスのよう」と言われますが、当初はアメリカの海沿いのリゾートコースをイメージしていました。というのも、名前こそ夏泊ゴルフリンクスとしましたが、当時はスコットランドのようなリンクスは悪く言えば河川敷といったマイナスイメージがあって、人気を得られないと考えていたのです。そこで、アメリカ西海岸のスパイグラスヒルとかサイプレスポイントなどを設計のイメージ基盤に据えました。林間コースだけど、海が見えたり、見晴らせたりするホールがあるという感じです。

外崎●そう言われると、スタートのパー5は海が見えますが、2番のパー3は池越えとなり、3番のパー4は松林がセパレートする林間ホール、4番はクリークが流れるパー4、5番はきついアップヒルでバンカーが随所にあるパー5。息も絶え絶えにホールアウトして、ようやく6番のティグランドに辿り着く。このときに大海原が目に飛び込んでくるわけです。下北半島や津軽半島が見え、その遠くには北海道も見渡せる。素晴らしい絶景に息を呑み、疲れが吹っ飛びます。

海老原●サイプレスポイントもそうですが、ちらっと海を見せておいて、その後は隠れさせてしまう。そうしておいていきなり海をドカーンと見せる。そうした演出はカルフォルニアのパサディエンコなども絶妙なのですが、夏泊にもそれを現実化させたいと造成にも工夫を凝らしました。美しい海もずっと見ることができれば当たり前になって、ありがたみが薄れてしまう。見えそうで見えない、見るときは一気に見せるという手法ですね。

鏑木●この辺りは「やませ」と呼ばれる強い東からの海風が吹きます。ホールレイアウトが難しいうえに風も吹き抜けるので、本当に攻略するのが難しい。それだけにさらに面白くなりました。やはりリンクスは風が吹かなければリンクスじゃない。リンクスの味わいは風にあります。

外崎●そうはいってもここの風は本当に手強いです。「やませ」だけでなく、西からの風でも強く吹けば平気で使うクラブが4番手も変わります。アゲンストだけでなく、フォローでも飛ばなくなります。風が上から叩きつけるように吹くので、球が飛ばないのです。九州のシングルさんをこの夏泊に連れてきたことがあったのですが、90どころか100叩きをしました。プロであっても相当に手強いらしくて、'95年にこの夏泊で日本プロをやったとき、練習日に強い風が吹いて、ジャンボ尾崎さんがこれではスコアにならんと試合に出ずに帰ってしまったという逸話があるぐらいです。
鏑木●アメリカ西海岸のリゾートコースからスコットランドのリンクスに夏泊のコースイメージが変貌を遂げていくにあたり、海老原さんが具体的にお手本とされたゴルフコースはあったのですか?

海老原●実際のスコットランドのリンクスも見ていますし、私のイメージの中には入っていますが、単純に模倣をしても本物には適いませんし、似せ物になっては陳腐なばかりですよね。自分の国なり土地なりに合ったリンクスがあるはずだと思うわけです。アメリカのコース設計にもそうした原点回帰の動きがあって、スコットランドのリンクスを彷彿とさせるアメリカらしいリンクスが誕生してきたわけです。その中にオレゴン州ポートランドにあるバンドンデューンズというリンクスがあって、そのコースが勉強になりました。

鏑木●今やペブルビーチに匹敵するといわれるリゾートコースですよね。無名のデビッド・キッドという若い青年が設計したと言われています。

【ゴルフコース学】夏泊ゴルフリンクスで「風のゴルフ」を学ぶ!

【ゴルフコース学】夏泊ゴルフリンクスで「風のゴルフ」を学ぶ!

【ゴルフコース学】夏泊ゴルフリンクスで「風のゴルフ」を学ぶ!

【ゴルフコース学】夏泊ゴルフリンクスで「風のゴルフ」を学ぶ!

強い風、「やませ」をどのように克服するか?

鏑木●さて、夏泊のコースの特徴や風の話になってきたところで、『書斎のゴルフ』の読者のゴルフに対して、具体的に役立つ内容の話にしていきたいと思います。やはり夏泊を例に取れば、風対策になりますよね。どのようにして風を克服するか。

海老原●例えば外崎さんはドライバーショットはどうされていますか?やはり低い球で攻めますか?私もそうですが、低いドローボールで風に負けないよう、しかも距離がなるべく出るように打っている人が多いように見受けます。

外崎●その通りです。私の場合は、ドライバーでは低くティアップして、地を這うような球になればいいと思って打ちます。低いドローボールになれば最高ですが、間違っても高いスライスボールだけはダメです。アゲンストの風なら煽られて戻ってきてしまいますから。しかもフォローの風なら風に乗るかといえば、夏泊はそんなに甘い物じゃない。前にも言いましたが、上から叩きつけられる。だから、地を這う球がいいです。

鏑木●外崎さんのアドレスを見ると、広いスタンスでがっちりと構えている。まるで足の指で地面の土をつかまえているようです。そんな人が夏泊のメンバーさんには多いですね。

海老原●下半身はがっちりで、上半身はリラックス。難しいけれど、それができるようになれば、風がないときでもいい球が打てるし、風が吹けば吹くでとても有利になりますね。私は茨城県に住んでいて、龍ヶ崎や我孫子でプレーしますが、今では夏泊で鍛えられたこともあって、風が吹くとやったと思いますからね。

鏑木●夏泊の宝石と呼ばれるあがり3ホールはどうですか? 16番のパー5、17番のパー3、18番のパー4。特に16番のグリーン手前から17番は海を見渡せる絶景のホール。ダイナミックで美しく、しかも風が吹く難しいホールです。外崎さんはどう攻めていますか?

外崎●14番が上りで、15番はさらに過酷な上りのパー4です。ようやく15番をホールアウトして16番のパー5に挑むわけですが、バックティから652ヤードもあります。夏は東風の「やませ」が吹いてフォローとなるのでティショットとセカンドはまだ楽ですが、海が背景にあるグリーンには打ち下ろしとなるので第3打や第4打がグリーンオーバーになりやすくてとても難しい。一方、西風が吹く季節はいくつ打ってもグリーンまで届かない。グリーンを狙うショットはやさしくなりますけどね。どちらにしても、やりがいのあるとっても面白いパー5です。

海老原●16番は敢えていじっていないホールです。ティショットは飛ぶ人やフォローの風なら右のバンカーを越えて打てる。つまり飛べば何でもいいと思って思い切り打てます。セカンドもフェアウェイバンカーなど気にせずに思い切り打てばいい。荒々しいホールですから、プレーヤーも荒々しい気分で攻略して欲しいです。

外崎●風が吹くとアドレスしたときにウインドブレーカーがバタバタ音を立てて煽られますが、それで仕切り直しなどしていたら、夏泊では一生ティショットは打てません。そんなことは一切気にせずに打ちます。荒々しい気分にならなければラウンドなどできません。風と喧嘩せずとも気合いは入りますね。

海老原●16番はアゲンストの強い風が吹けば立つのはおろか、前に歩くことさえままならなくなります。グリーンも風の影響を受けますよね。

外崎●これもさっきも話しましたが、ボールが動くほどですからね。フォローなら驚くほど転がるし、アゲンストならブレーキがかかる。乗せるだけでもやっかいなのに、それからがまた大変。本当に心が鍛えられます。

鏑木●続く17番の打ち下ろしのパー3はどうですか?

外崎●あそこは横風が吹きます。夏は左からの東風。冬は右からの西風。どちらも強い海風ですが、東からの「やませ」のほうが重い風ですね。198ヤードですが、打ち下ろしを考えて、しかもOBまで風に流されないように5番アイアンで低い球を打ちます。それで乗れば御の字ですが、グリーンは「L」字を逆さまにしたような形なので、ピンが奥で手前に乗ったら、パターではカップを狙えないなんてことにもなる。写真家にとっては最高のロケーションでしょうが、私らプレーするもんにとっては、何打打つかわからない恐ろしいホールでもあります。

海老原●あのパー3はティグラウンドでとても風が気になるわけですが、グリーン上はそれほど強く吹いていない横風なわけで、風を気にし過ぎてショートする人をよく見かけますね。

外崎●確かにそれは言えますね。ティグラウンドが高台にあるので、風が顔にぶち当たるのでどうしても気になりますから。OBゾーンが目に見えるので何度やっても風が気になりますね。

鏑木●ラストホールの18番はどうですか?

外崎●ここも風が強く吹くホールですね。夏はアゲンストで今日は横殴りの雨が吹き付けました。夏泊は傘などまったく役立たずで、いつでも雨合羽が必要ですが、これもスコットランドのリンクスという感じで、私は決して嫌いではありません。横殴りの雨に立ち向かって行くと、俺も男だなあと思ってしまいます。とはいえ、最終ホールはバンカーが11個もある。どこに打ってもバンカーに入るといった感じです。しかもティグラウンドの風とグリーン周りの風はどういうわけか方向が違うんです。だから最後の最後にバンカーにつかまることも多い。しかし、それもまた面白いです。ライバルとマッチプレーをすれば、逆転に続く逆転で、最後にまたどんでん返しがあるという何ともドラマチックな結末となります。夏泊は何度やっても飽きません。

ご予約はこちらゴルフダイジェストオンラインへ